フィルターの仕様の指定方法

技術情報, 方法

必要な光学フィルターの仕様は、フィルターのアプリケーションと使用方法によって変わってきます。 一般的に、典型的なフィルター光学仕様には、光を反射・透過する波長範囲、入射角調整範囲、フィルターの開口径、非正規入射角での偏光状態、光のコヒーレンス(レーザーまたは白色光)、光学ビームサイズと光の円錐角、希望の基板材料(寸法を含む)、および入射光媒体(空気またはガラス)などが含まれます。 さらに、動作温度範囲やフィルターの周囲環境などの物理的仕様も指定する必要があります。

AOI および CHA:

入射角(Angle of Incidence:AOI)は、平行光がフィルターの最初の面に入射する角度であり、当該面の法線を基準として測定されます。

円錐半角(Cone half-angle:CHA)は、平行光でない入射ビームに関する角度範囲を意味し、AOIから最大円錐角まで測定されます。

入射光のAOIまたはCHAを変化させると、フィルターのスペクトル応答も変化します。 エッジパスフィルターがAOIの変化にどのように応答するかについての詳細情報は、当社の技術ノート「ラマン分光用エッジフィルター」をご参照ください。 特注フィルターについては、お客様にAOIとCHAの範囲を指定して頂く必要があります。それに応じて、当社のフィルター設計エンジニアが、そのAOIおよびCHAの範囲で機能するフィルターを最適に設計します。

お客様がフィルターの仕様を提示する際に、ビームサイズに関する情報の提供もお願い致します。

開口径:

光学コーティングは、各フィルターの外縁まで施されますが、各フィルターの横方向の寸法よりも、開口径は小さくなります。

リングマウントなしの円形フィルターの場合、標準的な開口径が外径の90%以上であることを保証しています。 正方形および長方形フィルターの場合、開口径はフィルターの横方向の寸法の80%以上であることを保証し、また、開口部は楕円形となります。 リングマウント付きのフィルターの開口径は、リングマウントの大きさと厚みによって決まります。 全てのフィルター仕様は、開口部の領域内でのみ保証されます。

フィルターの向き:

意図している透過率とブロッキング性能を最大限にし、自己蛍光を最小限に抑えるために、光がフィルターの特定の面に入射するようにフィルターの向きを正しく合わせて設置します。

リングマウント付きのフィルターには、リング上に矢印があります。リングマウントなしのフィルターには、フィルターの片面に罫書きまたはさいの目状のマークが示されます。 フィルターの矢印は、光の入射面を示しています。

偏光:

光が、光学フィルターに垂直ではない入射角で入射した場合、光の偏光は光波の電界の向きに関連する2つの直交ベクトル成分によって表すことができます。 偏光は、入射面またはフィルター表面の法線に平行で、入射光線と反射光線の両方を含む平面を基準としています。 偏光は、入射面またはフィルター表面の法線に平行で、入射光線と反射光線の両方を含む平面を基準としています。

基板およびフィルターの寸法:

基板材料は、Borofloat、Schott BK7、石英ガラス、コーニング7980石英ガラス、UVグレード石英ガラス、および、CTE値の高いWMS-15ガラスがあります。 基板の厚さのご指定や、ご要望を可能です。 基板のタイプに依って、数種の標準厚を提供することができます。 ご利用可能な厚さの種類については、当社の営業チームにお問い合わせください。

イリディアンは、必要なサイズに合わせて、円形、長方形、または正方形の形状の特注フィルターに加工することができます。 その際、寸法公差を指定して頂く必要があります。

12.5mmおよび25mmの標準直径を有するフィルターマウントが一般的ですが、特注品として直径をご希望頂くことも可能です。

完成品の品質

完成品の表面の品質の要求仕様は、非光学的品質仕様の一部として定める必要があります。 イリディアンのスクラッチ-ディグの基準は、MIL規格(US Military Standard)であるMIL-PRF-13830に基づいています。

完成品フィルター上に特定の表面平坦度または波面の歪み(透過波面もしくは反射波面)を要求する場合は、ターゲット値を提供して頂く必要があります。

フィルタータイプ

一般的に、光学フィルターに対しての全波長範囲を定める必要があります。

フィルターには主に4つのタイプがあります。バンドパスフィルター(BPF)、エッジパスフィルター(ロングパスフィルター(LPF)、ショートパスフィルター(SPF))、ノッチフィルター、およびダイクロイックフィルター(ロングパスダイクロイックフィルター(DLP)、ショートパスダイクロイックフィルター(DSP))です。 通信用フィルターとしては、BPF、LPF、ゲイン平坦化フィルター(GFF)、およびソリッドエタロンが挙げられます。

さらに、動作波長範囲、AOI、CHA、基板タイプ、基板厚とその公差、フィルター寸法(マウントの有無、マウントサイズ)とその公差、偏光要件、フィルターの開口径、完成品の面の品質、および動作温度範囲 を指定する必要があります。

(1) バンドパスフィルター
透過波長範囲、透過率、FWHM、反射波長範囲、およびブロッキング性能を定める必要があります。 また、透過波長範囲におけるリップルの仕様を希望する場合は、その仕様の提示をお願い致します。

(2) エッジパスフィルター(ロングパスおよびショートパス)
透過波長範囲、透過波長範囲の透過率、反射波長範囲、ブロッキング性能、およびカットオフ値またはエッジ急峻度を定める必要があります。カットオフとエッジ急峻度の定め方については、ラマン分光用エッジフィルターに関するページをご参照ください。 また、透過波長範囲におけるリップルの仕様を希望する場合は、その仕様の提示をお願い致します。

(3) ノッチフィルター
透過波長範囲と透過率、反射波長範囲、およびブロッキング性能を定める必要があります。 また、透過波長範囲におけるリップルの仕様を希望する場合は、その仕様の提示をお願い致します。

(4) ダイクロイックフィルター(ロングパスダイクロイックーおよびショートパスダイクロイック)
透過波長範囲と透過率、反射波長範囲と反射率のご指定をお願い致します。 また、透過波長範囲におけるリップルの仕様を希望する場合は、その仕様の提示をお願い致します。

(5) 通信用バンドパスフィルター
パスバンド幅、-dBレベル、-3dB帯域幅(FWHM)、透過アイソレーション、反射帯域の範囲、およびブロッキングアイソレーションのご指定をお願い致します。 また、パスバンドにおけるリップルの仕様を希望する場合は、その仕様の提示をお願い致します。

(6) ゲイン平坦化フィルター(GFF)
希望のPeak-to-Peak誤差関数(Peak-to-Peak Error Function:PPEF)とターゲット透過率曲線データの提供をお願い致します。

(7) ソリッドエタロンおよび単一キャビティ型エタロン
自由スペクトル範囲(FSR)、フィネス(F)、およびFSRでの温度変化のご指定をお願い致します。 単一キャビティ型エタロンに対して、-3dB帯域幅(FWHM)のご指定をお願い致します。

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