地球上のあらゆる場所において、常時、待ち時間が少なく、大容量、安全、かつ途中で切断されることのないインターネット接続に対する需要により、衛星通信(satellite communications:Satcom)市場が爆発的に拡大しています。 イリディアンは、カスタムの波長選択性ウィンドウとトランシーバーフィルターを設計・製造し、システムにおけるS/N比を向上させています。
衛星通信の商用ネットワークは、相互接続している地球の低軌道(LEO)網内にある数百~数千の衛星群で構成されています。 システムの多くは、レーザー系光通信を介して衛星を接続するための光衛星間リンク(OISL)アーキテクチャに頼っています。 光学フィルターは、これらのシステムに波長選択性を付与し、太陽放射遮断ウィンドウから、波長選択性シグナルクリーンアップフィルターやビーム分割/結合ダイクロイックフィルターまで、様々な機能のニーズに対応します。
太陽放射遮断ウィンドウ(Solar Rejection Windows:SRW) により、衛星間のOISL通信帯域(通常、約1550nm)における送信が可能となる一方で、バックグラウンドの太陽放射をブロックし、衛星内部の太陽熱を最小限に抑えながら、S/N比を向上させることが可能となります。
SRW光学フィルターの性能に関する一般的な要求仕様:
- シグナルバンド域での高透過率
- 1550nm(標準)。(異なる波長にも対応可能)
- 太陽スペクトルに対する広範で高いブロッキング性能
- 最大直径150mmサイズウィンドウ(標準)
- 少ない透過波面誤差(TWE)
ダイクロイックビームスプリッター/コンバイナーによって、受信器が、対象とする特定の波長帯域を選択的に受信することが可能となります。 これらのビームスプリッター/コンバイナーを、独立型クリーンアップフィルターとして、または、直列に配置して、光パルス列の様々な検出器に様々なシグナルを送信することができます。
ダイクロイックフィルターに関する一般的な要求仕様:
- 高透過率および高反射率
- 高透過率から高反射率への急激な遷移をもたらす急峻エッジ
- 場合により、QKD暗号化シグナルのために、偏光を保持することが必要。
バンドパス“クリーンアップ”フィルターにより、多くの場合に信号を伝送する2つ以上の波長帯域である送受信信号帯域において高いレベルのS/N比が実現します。
バンドパスフィルターに関する一般的な要求仕様:
- 狭帯域幅(FWHMまたはパスバンド)
- 高透過率および高反射率―最大限にチャネル同士を分離
- 高透過率から高反射率への急激な遷移をもたらす急峻エッジ
- 少ない透過波面誤差(TWE)
宇宙用光学部品
イリディアンは、個々のフィルターとマルチスペクトル素子を製造しており、これらをテストして、衛星軌道および宇宙環境における適格性を確認しています。 イリディアンは、「Canadian Controlled Goods Program」の登録参加者です。
当社のフィルターが合格した宇宙環境適格性確認試験の項目として、下記のものが挙げられます。
- 放射線への曝露(γ線、プロトン、太陽紫外線と電子の組み合わせ)
- 熱サイクル/衝撃/生存試験(液体N2への浸漬から沸騰エタノールへの浸漬を含む)
- 振動試験
- 1MW/cm2超でのレーザー損傷特性試験
- 50K~450Kの熱真空循環試験
- ASTM-E595に準拠した脱ガス試験
- MIL-C-48497Aに準拠した信頼性
イリディアンには、業界をリードする、地上システム向け光通信フィルターおよびデータ通信フィルターを、20年以上にわたって製造してきた実績があります。 この通信フィルターに関するノウハウを、地球観測などの衛星アプリケーションで使用されているフィルターを備えた宇宙用光学部品と組み合わせ、そのノウハウを航空宇宙および特殊光学専門グループがサポートすることで、初期仕様および設計から当社のオタワ工場(カナダ)での大量生産にいたるまで、お客様をサポートします。